1巡目

【1巡目】区切り打ち第1回

2014(H26)年5月連休

2014(H26)年の5月連休後半、人生初めてのお遍路を開始しました。
父親の死を供養したいと思っていたときに、四国遍路開創1200年の話題が耳に入り、「そうだ、走ってお遍路をしてみよう!」とヒラメキました。「走り遍路」です。
5月2日~6日に最初の区切り打ちの走り遍路を行い、一気に1番「霊山寺」~23番「薬王寺」の徳島県一国打ちをやり遂げることができました。

はじめはテントなどの野宿道具を含めた10キロ程度の重たい荷物を背負って走っていましたが、走る振動で荷が重くのしかかることがわかりました。このままでは最後まで走り通せないと判断し、12番「焼山寺」の山道に突入する前の2泊を野宿したのちに、野宿道具や不要物をコンビニから自宅へ送り返し、その後は宿に泊まることにしました。
荷物の重さが半分くらいに減ったことでようやく山道も走れるようになりました。

荷物を担いで走る場合の最重要アイテムは、両手に持つトレランポール(ストック)だとわかりました。ポール無しでは思うように走り通せなかったかもしれません。
身体や荷物の重量負担を足と腕に分散させることができ、とても楽になります。
また、登り道や平坦道においては前方へ推進力を付けるように腕力を利かすこともできるし、下り道では左右の振れを抑えるようにポールを突くことで安定感が増し、疲労が大きく抑えられたと実感できます。なお、どの場面でもポールを突くことが走りの抵抗となってしまわないよう(ブレーキが掛かってしまわないよう)、突き方に注意しました。

走り遍路って、走っている最中もいろいろ考えることがあって、結構忙しいです。
いかに淡々と走り続けるか、ルートは正しいか。走りながら地図を見るのも大変です。
また、泊まる場所を決めることにも気疲れします。体力勝負でどこまで進めるかの見通しを付けることが難しく、どの辺りできょうの宿を決めて予約しようかとずっと考えています。野宿の場合でも、適地を見つけることがかなり大変ですし、田舎になると夕食や朝食の食糧確保もままなりません。車なら遠くの店でも気軽に行けますが、自分の足ではそうもいきません。

札所の納経所が開いている時間が7時から17時までなので、案外これに1日の行動が制約されます。1日の最後のお寺に17時ぎりぎりに到着した場合、先に納経所を済ますこともありました。また、先々のことを考えて、どうしてももっと先に進みたいときにはスゴい裏技も考え付きました。
17番「井戸寺」(徳島市国府町)から18番「恩山寺」(小松島市)の間は17kmほどの距離があり、今後のことを考えるとこの日は井戸寺までの納経を済ませたいと思いましたが、どうしてもあと30分ほど足らない計算でした。そこで思いついたのが、16番「観音寺」はとりあえず納経所だけを済ませておき、そのまま3km先の井戸寺へ向かうことでした。
実際、井戸寺に到着したのが17時少し前でした。先に納経所を済ませてから本堂と大師堂をお参りし、読経しました。ここから再び一つ前の観音寺に逆戻りして、やっていなかった本堂と大師堂のお参りを行い、つじつまを合わせました。巡礼の巡り方としてこれで良いのかちょっと引っ掛かりますが、余分な距離を走って辛い修行となったということで帳消しにします。この日の宿は徳島市繁華街の24時間サウナで、到着したのが21時頃でした。翌日は5時頃に起床して先へ進むことができました。
このスゴい裏技をやっていなかったら、お寺の納経所が開く朝7時までは井戸寺で足止めをくらうところでした。この足止めをくらっていたなら、もしかしたら一国打ちを完遂できなかったかもしれません。

歩きにしろ、走りにせよ、労苦を伴ったお遍路修行はとても良いものだとわかりました。
お遍路している間は、このことにどっぷり浸かって非日常のときを過ごすことになりますので、心身がリフレッシュできます。
情報洪水で時間に追われる忙しい日常生活から離れることで、自分に向き合っていろいろ考えることができましたし、日常にはないドラマもありました。

お遍路によって、これまで自分の生活に追われて考えることもなかった親族や先祖のことを想ったり、モノやカネに執着する心の貧しさなどを反省したりしていると、いくらか心も清くなった気がします。そもそも汚れた心や貧しい心では良い考え方や行いもできません。
何より、仏神に祈願することとは身勝手なお願いをすることではなく、自分の目標を明確にしてやるべきことを決意し、その実行を仏神に見守ってほしいと願うことではないかと私なりに気が付くことができました。
お遍路のときだけ拝むのではなく、日常でも目標を明らかにして拝むことで人生が大きく変わるかもしれないと思いました。

これまで信仰心などなかったのですが、今年父親を亡くし、何らかの形で強く冥福を祈りたいという気持ちが湧き起こり、ランニングを趣味としていることから四国八十八ヶ所を走ってお遍路したら一石二鳥だと、ひらめきました。
そうしたら、お遍路に得ることがたくさんあることがわかり、これはハマると感じました。「お四国病」なんて言葉もあります。

次回の区切り打ちは、日和佐から室戸岬への80kmランからです。
次は何を得ることになるのか楽しみです!

この荷物での「走り遍路」は無理だった!